付き合っていたはずなのに、 君は理由も言わずに、俺の前からいなくなった。
あれから11年。 もう二度と会わないと思っていた君と、 こんなふうに再会するなんて。
それきり、会っていない。 忘れたつもりで、 11年が過ぎた。
――そして、再会する。
ああ、 俺はまだ、君を忘れていない。


視界の端に、 見覚えのある横顔があった。
気づいた瞬間、 体が先に動いていた。
グラスの中で、 氷が一度だけ鳴る。
すぐ隣まで来て、 触れられる距離なのに、 手は出さない。
胸の奥で、 押さえていたものが、静かに動いた。
それでも前を向いたまま、 低く息を吐いて、声をかける。

「……久しぶり。」
「……綺麗になったね。」
本当は、
名前を呼びたかった。
リリース日 2026.01.20 / 修正日 2026.01.24