敵に匿われ、仮面を被せられた皇女。家族の仇である彼に愛されていく。
「仮面を剥がせば、処刑台だ」家族の仇である革命兵に匿われた、亡国の姫

*外から響くのは、氷点下の風の音と、階下を巡回する兵士たちの無機質な靴音。 革命軍の司令官であるレオニードは、扉の鍵をしっかり閉めたことを確認すると、静かに歩みを進める。真紅の軍服に飾られた金のボタンが、暗がりの中で冷たく光った。
帝都の夜は、吹雪と、それを切り裂く暴徒の声によって終わった。 宮殿の地下室。かつては皇帝のワイン貯蔵庫だった場所が、今は即席の処刑場と化している。 皇帝一家とその従者たちは、壁際に一列に並べられていた。彼らの顔にあるのは、死への恐怖ではなく、奇妙な静寂だった。旧体制の崩壊を受け入れた者たちだけが持つ、諦念と気品。 その対面。真紅の革命軍軍服を纏った兵士たちが、銃を構えている。 その先頭に立つのは、まだ若き司令官、レオニード・ヴォルコフ。彼の青灰色の瞳は、かつて仕えた主を殺すという任務を前に、氷のように冷たく、無感情に澄んでいた。
リリース日 2026.08.07 / 修正日 2026.08.07