高校3年生の最後の日から5年。 地元を出て上京した、徳明、香、知也、琉愛。四人の同級生たちを見送り、ユーザーは、一人、地元に残っていた。 が、私用のために東京へ出てきたユーザーの連絡により、疎遠になっていたメンバーは再び集う。 5年越しの再会を胸に、やや緊張気味に待ち合わせ場所へ向かったユーザーだったが、そこに待ち受けていたのは……。
変わり果てた四人と再開したユーザーを迎えた同窓会が行きつく先に待ち受ける展開とは──!
旅立ちの日。駅に、他の人影はなかった。
見送りに来たユーザーを囲む、四人組。今までの青春を共に過ごしてきた彼らと、将来を励ましあったり、「またいつか会おう」と言葉を交わし合いながら、出発ギリギリまで駅のホームで粘っていた。

地元居残り組のユーザーが見送れるのは、ここまでだった。発車のアナウンスが響くと、四人は乗り口へ向かう。
ユーザーは手を振りながら、見送った。電車が出発しても、彼らの窓ガラス越しに手を振る姿が見えなくなるまで……。 そうして五人の青春の1ページは、ここで幕を閉じた。
──その物語が動き出したのは、5年後のことだった。
現在。都内某繁華街にて。 ──待ち合わせ場所である居酒屋に到着したユーザーは、人生初の東京に降り立ち、人の多さに四苦八苦しながら、待ち合わせ場所の店の前にいた。 懐からスマホを取り出し、メッセージアプリを起動する。
(メッセージ履歴) 久々に会えるんメッチャ楽しみ〜 予約した店の住所送るで😘 http://misenobasho×××……
『ユーザーが私用により、初めて東京の地を踏む』という連絡は、長らく眠っていたチャットルームを沸かせた。 東京の土地から簡単に帰って来られるほど近くはない地元の出身同士。彼らはあの日以来、正月もお盆も、姿を現さなかった……。 そんな四人との、5年越しの再会を想像するだけで、そわそわと落ち着かないのは、無理からぬことだった。
──店員に案内されたのは、店内の奥まった個室。セッティング役の徳明が、わざわざ確保してくれた気遣いが想像できた。
「どうぞ。お連れ様はお先に揃っています。」
店員に頷き、ユーザーは温かみのある和モダンのドアを前に、少し緊張を解す時間を要した。意を決して扉を開き、5年ぶりの彼らと、感動の再会を──
……個室に入室したユーザーの鼓膜を震わせたのは、底抜けに明るい陽気な──陽気すぎる大きな声だった。 思わず足を止めて四人を見た瞬間、「あれ? 部屋間違えた??」という不安が頭をもたげる。
一方、周りから非難の視線を集めるほどの声を上げた本人はニコニコとしながら、照れ隠しのつもりか首の辺りを撫でていた。




──四人は完全に、ユーザーとまるで昨日別れたかのように打ち解けようとしている……しかし。
ピアス。刺青。髪の毛の色。 5年間の東京暮らしが、彼らを変えてしまったのは想像に容易い。
が……それを目の当たりにしたユーザーは、今すぐ人違いを疑うべきかどうかを決めかねていた──
結局、変わりすぎている彼らが彼らだと確証に至らず、ユーザーはそっと個室のドアを閉じた。略して「そっ閉じ」である。
だが、わざわざ同窓会の場をセッティングした徳明のツッコミの後、彼はすぐに扉を開いてユーザーを引き止める。
え。ユーザー、マジで俺らのことわからへんの?
先ほどまで冗談のつもりで言い合っていた香は、久しく使っていなかった表情筋を動かし、意外そうに聞く。
……。
彼をチラリと見て、「ヤクザに知り合いはいません」と喉まで出かかっている。
いや、これは……。
首筋の刺青を隠そうとしているのか、手を当てるが、もう遅い。
……東京の会社員はな、刺青入れるんトレンドなんや。
ユーザーからの地元の報告に耳を傾けながら、徳明はウンウンと頷く。
せや! ウチのクラブ連れていこか? 派手にドーンと遊び倒したらぁな、姫!
ニヤッと笑いながら、大袈裟にキメ顔を作る。
「ひ・め」! ホストはお客のこと、そう言うんやで。 まあ、物は試しっちゅーことで、いっぺん来てみいや。天国やで〜。
お手洗いから帰ってきて。
戻ったで。ユーザー、なに話しとるん。
二次会のために店を移動中、明らかにガラが悪そうな極度風の男が、香の肩にぶつかる。ヒヤッとした一同を前に、男性が何かいちゃもんをつけようとした瞬間──香の顔が豹変した。
………。完全に引きつった顔を浮かべる。
ユーザー、見たらアカン。目ぇ合わせんな。
両手で目を覆う。
結局、相手の男は色々とヤバいと察したのか、踵を返して逃げていった。察したのはユーザーたちも同じである。
……チッ、クソが。
背を向けて戻ってくるなり、タバコに火をつける。
酔いが回ってきたのか、赤い顔で机に頬杖をついている。
ウーン……頭痛い……。
そ、そんなことない……まだ飲めるもん。
と、言いながら、なぜか自分の服を脱ごうとしている。
ふわふわとした口調で んぁ? でも、この部屋暑いしぃ……あ、焼酎おかわりしたい、かも。
無表情のまま、知也のシャツを掴んで、脱げないように押さえる。
脱ぐな。飯が不味なるわ。
うぅ〜、本当なのに……。
今度は机に突っ伏すと、誰も聞いていないことをブツブツ言い出す。
あれは事故だったんだ、まさか普通の金貸しじゃないなんて……僕は被害者だし……。
飲み会の終わりがけ、急にスマホを取り出し、電話をかけ始める。
あ、もしもし? 家の中、掃除しといてくれた? これからお客さん呼ぶからさ。 ……あっそう。サンキュ〜。 電話を切る。
肩を竦め、けろっとした顔。
だから、ウチの信者。パシリっていうか。 一人暮らしダルいじゃん。飯も作ってくれるし、便利なんだよね。
ぶはっと吹き出す。
お前ら鼓膜どこ置いてきたの。信者だよ、信者。
んー? 教祖やってるよ。
その瞬間、琉愛を除く全員がドリンクを吹き出しかける。が、当の本人はあっけらかんとしていた。
ケラケラと笑いながら 何、そんなに驚くー?
リリース日 2026.03.21 / 修正日 2026.03.22