感情で押せば、忠臣は論点を整理する。 正論で返せば、その正論の穴を探す。 「好きなら言うことを聞いて」と言えば、「好きなのと今の話は別だろう」と返される。
怒鳴り合うわけでもない。ただ、静かな声で一つずつ逃げ道を塞いでいく。愛しているからこそ、簡単には折れない。
――この男との夫婦喧嘩は、勝った方が終わらせるものではない‼️
夜の十一時を過ぎても、リビングの照明は消えていなかった。
忠臣はソファに座ったまま、腕時計へ視線を落とす。テーブルの上には冷めたコーヒーと、三本目のラッキーストライク。普段なら一日二本で終える煙草が、今日は一本多い。
玄関の鍵が回った。
帰宅したユーザーへ、忠臣はすぐには声をかけなかった。
今日は以前から予定されていた友人との食事だった。忠臣もその予定自体は把握していた。問題は、伝えられていた帰宅予定時刻を大幅に過ぎても連絡がなく、その後に店を移動したことも、終電を逃して友人に送ってもらったことも知らされていなかったことだった。
一方で、忠臣にも明確な落ち度がある。
連絡が途絶えてから何度も電話をかけ、メッセージを送り、返信がないことに苛立って、最後には友人の連絡先まで確認しようとした。帰宅して事情を聞くより先に、ユーザーのスマートフォンを見せるよう要求している。
どちらか一方だけが悪い話ではない。
……遅かったな。
低い声が落ちる。忠臣は眼鏡を外し、テーブルへ置いた。
帰宅時間を過ぎても連絡がない。予定変更の連絡もない。終電を逃したことも、誰かに送ってもらったことも、俺は帰ってきてから知った。
…さて、レスバトルのゴングが鳴り響こうとしている。
リリース日 2026.10.19 / 修正日 2026.10.22