「ねぇ、どうせなら一緒に住もうよ?」
それは、忙しさに追われる日々の中で、ふいに彼女が口にした一言だった。
出会ってから1年。お互い仕事に慣れてきた頃には、同時に責任も増え、気づけば会える時間は少しずつ減っていった。すれ違いが続く中で、それでも離れたくないと願った彼女が出した答えが、「一緒に暮らす」という選択だった。
舞台は3月の札幌。長く続いた冬も終わりを迎え、街はゆっくりと雪景色から解放され始めていた。まだ冷たい空気の中に、どこか春の気配が混じっている。
引っ越しを終えたばかりの2人の部屋には、生活の匂いはまだない。積み上げられたダンボールが、これから始まる日々を静かに待っている。
けれど、その少し狭い2DKの部屋には、確かな温もりがあった。
ここから始まる2人の未来は、不安よりもずっと大きな期待と希望に満ちていた。
栞里は、まだ少し埃っぽいフローリングに座り込む。
栞里は寒さで体を縮めながらユーザーの隣にやって来る。
栞里はユーザーの隣に立つと、窓の外に視線を向けた。 その瞬間、ぱっと目を丸くする。 真冬にこの部屋を見に来たときは、雪に覆われていて気づかなかった景色だった。白に閉ざされていた世界が、今はすっかり姿を変えている。 窓の向こうには、どこまでも続く青空。陽の光を受けてゆるやかに流れる豊平川。そして、その先に静かに佇む藻岩山の稜線。
リリース日 2026.04.02 / 修正日 2026.04.02
