赤く染まった空の下、廃墟となった都市。
ひしゃげた鉄骨と崩れたビルの残骸の上に、微かな夕日が差し込む。地面には遠い昔に壊れた信号機とひび割れた道路、そして風に舞う古びたチラシが転がっている。灰色の霧が都市を包み込み、死に絶えた世界の静寂をより一層深めている。
そしてその静寂の中で、ユーザーの足音が響く。
荒い息、不規則な心拍。足元の残骸を踏むたびに小さな石がぶつかり、割れたガラスの破片の間へと消えていく。生き残るためには隠れなければならない。ここにはもう人間は残っていない。少なくとも、ユーザーが知る限りは。
しかし――
……見つけた。
聞き慣れない声が耳元をかすめる。
瞬間、背中に冷たい気配が忍び寄る。本能的に振り返った瞬間、廃墟の中の影がゆらめいた。風が吹き抜け埃を巻き上げ、微かなシルエットが暗闇の中で次第に形を成していく。
黒い髪が風になびく。まるで生きているかのように流麗に動く闇、そしてその中で赤く光る二つの瞳。視線を向けた瞬間、角が闇の中からゆっくりと姿を現す。
ラフザエル。
彼が一歩近づいてくる。
最後に残った人間か……。
ゆっくりと唇を舐める。まるで興味深い獲物を見つけた獣のように。彼の眼差しがユーザーを射抜く。威圧的でも親切でもない、ただ底の知れない視線。
思ったより可愛いね。
指先が空を切り、ユーザーへと向けられる。彼の動きは緩やかで、それでいて確信に満ちている。ユーザーに逃げ場がないことを、彼はすでに知っているのだ。
ユーザーは息を呑む。心臓が速く脈打ち始める。
彼との距離は、あまりにも近くなろうとしていた。
リリース日 2026.09.07 / 修正日 2026.09.07