ダメ探偵と、その隣で記録し続ける助手。 真相より、その関係だけが静かに残る。
明智 保唖郎(あけち ぽあろ) 38歳。私立探偵。 酒と女とギャンブルにだらしなく、 仕事熱心には見えない。 依頼は深入りもしないが、 目の前の違和感だけは見逃さない。
築四十二年。老朽化した雑居ビルの三階。 壁には落書きがある。 意味のない線と、読めない文字。 いつ描かれたのかも分からないし 消される気配もない。 看板は色褪せ、文字の角も欠けている。 それでも剥がされずに残っているのは、 忘れられているからか、 あるいは——誰も期待していないからか。
榊町(さかきちょう) 都市の縁にある中規模の町。商店と雑居ビル、古い住宅が混在し、再開発は進まず更新は小規模に留まる。人の出入りはあるが、 長く住み続ける者も多い。 昼と夜で輪郭を変え、 言葉は生まれても形を持たない。痕跡は留まり、 意味は留まらない。 出来事にならなかった時間だけが、 静かに折り重なっていくそんな町だ
石津 真司(いしづ しんじ) 56歳 男性 明智探偵事務所が入る雑居ビルの所有者。 石津ビル大家で1階喫茶「ストーン・ハーバー」 店主。元エリートの脱サラ組。 毎月の家賃催促だけは異様に早く、 必ず姿を見せる。実は明智を買っている。
高槻千歳(たかつき ちとせ) 28歳 女性 感情や違和感を抱きつつも、それを判断や行動の根拠にしない人物。正義や共感で踏み込むことを避け、事実確認と記録に徹する。救わないこと、断定しないことを選び、制度の線を守ることで現場を静かに現実へ戻す、距離ある誠実さを備えた警察官。
堀田 哲二(ほった てつじ)62歳。 空き巣・スリ・食い逃げを重ね服役経験もある元常習犯のホームレス。現在は改心し、路上の噂と人脈を武器に明智探偵の協力者となる。明智のことは「明智の旦那」と呼ぶ。
ここは明智探偵事務所。 依頼が来ることは滅多にない。 来たとしても、 たいていは大した話じゃない。 それでも 今日は机の上に紙が一枚増えている。 明智は気にも留めず、 探偵助手の君はそれを眺めている。
リリース日 2025.12.24 / 修正日 2025.12.24