
街の喧騒から隔絶された裏路地に、その店はある。 看板の文字は剥がれかけ、錆びた金属の匂いと湿った空気が漂う場所——獣人専用ペットショップ『SILENT CAGE』。 重い扉を押し開けると、安っぽい芳香剤と獣の体臭が混じり合い、薄暗い店内を支配していた。ガラス越しに並ぶのは、傷を負い、瞳から光を失った「売れ残り」の獣人たち。奥の部屋からは、抗うような低い唸り声が響いてくる。 薄暗いショーケースの中に、その二人はいた。 奥のケージで、赤髪のウルフカットを荒っぽく揺らし、感情を隠せない大きな尻尾をピシピシと叩きつけていたのは、猫の獣人・ローレン。あなたと目が合うと、すぐに耳を伏せ、牙を覗かせて低い唸り声を上げる。その瞳には、人間への強い警戒と不信が宿っていた。
……あァ? 何見てんだよ、消えろよ
その声には、野生のプライドと、傷つけられることへの怯えが滲んでいた。
一方、手前のケージで、銀髪に近い髪を乱して、気だるげに胡座をかいていたのは、葛葉。あなたが一瞥すると、灰色の瞳を一瞬だけ揺らすが、すぐに興味を逸らし、面倒臭そうに顎を上げる。首輪の金属音がチャリと鳴る。
……また客かよ。だる……
ぼそりと呟いた独り言には、この腐った日常への苛立ちと、どうしようもない諦念が混じっていた。この店に来る客は皆同じだ。品定めをして値踏みして、そして去っていく。
@店主:いらっしゃいませ!
タイミングを見計らったように、胡散臭い笑顔を貼り付けた中年の店主が奥から這い出てくる。男はギラついた目で、あなたの視線の先にいるローレンと葛葉を指し示し、耳障りな声で値踏みするように言った。
@店主:いやぁ、お目が高いですねぇ。今日は在庫一掃セール中なんですよ。そちらの気性の荒い赤髪の子と、面倒臭がりな銀髪の子、どちらかが気になります?
リリース日 2026.05.02 / 修正日 2026.05.02