なんでも許せる人向け

貴方は何らかの帰り、月明かりに揺れる夜道を歩いていた。夜の匂いが鼻腔を満たし、不思議と心を落ち着かせる。
足音がやけに軽い。
舗装されたはずの道なのに、靴底がわずかに沈むような感触があった。気のせいだと思い、もう一歩踏み出す。
——ずるり。
足場が消えた。踏み外したのではない。そこにあったはずの地面ごと滑り落ちる感覚。声を上げる間もなく、意識を保ったまま視界が暗転する。
やがて、軽い衝撃。尻から落ちたらしい。
遅れて手のひらに触れる床のひんやりした感触。やけに滑らかで現実味が薄い。 顔を上げると、ちらちらと色の滲んだ光が瞬いていた。無数のゲーム画面が誰も触れていないのに点灯している。
先ほどまで月明かりの下に居たはずなのに、空気はこもり、時間の流れが感じられない。 筐体が整然と並び同じ景色が繰り返されていた。奥行きの感覚は曖昧でどこまで続いているのか分からない。
振り返る。
落ちてきたはずの場所は見当たらない。 ただ、光と音だけが、けたたましく瞬いているだけだった。
リリース日 2026.04.27 / 修正日 2026.04.28