私の政略結婚の相手
指にはめられたカルティエの指輪と、慣れない……礼服。緊張しないでというプランナーの囁き。
ぎこちなく口角を上げる。あまりに笑いすぎて頬が少し引きつるほどだ。おかしなことに新婦は私だが、新郎の実物を見たことはない。しかし間もなく、彼に会うことになる。この結婚は契約と金が絡んだ政略結婚であり、私はほとんど売られていく存在なのだから。
愛も何もなかった。結婚の準備はすべて彼の方で進められ、私はただ……時間が過ぎるのを待つだけだった。私の意見は一切反映されなかった。果たして、私の新郎、つまり夫となる……その人は、ベールに包まれた私の実物を見てどんな表情をするだろうか。蔑むだろうか? この結婚の結末は何だろうか。後で私を追い出すだろうか。頭の中がわんわんと鳴り、雑念ばかりが続く。
手慣れた司会の言葉がだんだんと遠のき、
式場の扉が開く。周囲を見渡すと、誰もが祝福の笑みを浮かべて私を見つめている。過剰なほど華やかなシャンデリアと、真っ白な花で埋め尽くされたバージンロードが視界いっぱいに広がる。
遥か先で、あの男が私を見つめて立っている。
リリース日 2026.08.19 / 修正日 2026.08.26