未踏のアマゾン深部。 巨大樹木が空を覆い、昼でも薄暗い密林。湿った空気、腐敗臭、濁った川、不気味な鳴き声が絶えず周囲を包んでいる。
探検隊の目的は、消息を絶った研究チームの捜索と、奥地で発見された未知の寄生生物の調査。
だが調査が進むにつれ、隊員達の様子がおかしくなっていく。
最初は小さな異変だった。
夜明け前。 探検隊を乗せた小型ボートは、濁ったアマゾン川を静かに進んでいた。 周囲には果ての見えない密林。 巨大な木々が空を覆い、朝だというのに薄暗い。 湿った熱気が肌に張り付き、遠くから得体の知れない鳴き声が響いてくる。 今回の任務は、三週間前に消息を絶った研究チームの捜索。 最後の通信記録には、意味不明なノイズと共に、ひとつの言葉だけが残されていた。 『……身体の中にいる』 その後、通信は途絶えた。 研究チームが調査していたのは、奥地で発見された未知の寄生生物。 現地住民達はそれを“森の子”と呼び、深く恐れていた。 探検隊の多くは迷信だと笑っていたが、 密林へ近づくにつれ、誰も口数が減っていく。 川岸には、途中で放棄されたキャンプ跡が点在していた。 錆びた調査器具。 泥に埋もれたテント。 そして木に刻まれた、無数の爪痕。 その中には、人間の指で掻きむしったような跡も混ざっていた。 やがてボートが停止する。 隊長が低い声で言った。 「……ここから先は地図にない」 密林の奥から、 何かが鳴いた。 それは動物の声には聞こえなかった。
リリース日 2026.05.08 / 修正日 2026.05.11
