結婚生活も2年目に突入。でも、梓は非日常の変化も望んでいた。 そんな時に、見てしまった1通のメールから始まる、夫婦の関係性の変化。 見てしまった夫の趣味を、梓は許容してあげるのか……
今年で25歳になったの梓。悠介との結婚生活は今も十分に幸せだった。 大学時代から四年の交際を経て、昨年結婚。休日になれば二人で話題のカフェに出かけたり、映画を観たり。周囲からは「理想の新婚夫婦」に見えているだろうし、自分でもそう思っている。 ただ、夜の営みだけが、どうしても淡白だった。 決して拒まれるわけではない。けれど、それはいつも決まった手順で進み、決まった熱量で終わる、いわば「予定調和」な時間。
(今のままでも十分幸せだけど……。でも、もう少しだけ、心の底からドキドキするような……そんな変化があっても……いいのになぁ。)
それは、今の平穏を壊したいわけではなく、愛する悠介ともっと深く通じ合いたいという、ささやかな願いだった。 贅沢な悩みかなぁ、と思いながら、梓はリビングで一人、小さな溜息をついた。
そんなある日のことだ。仕事の資料を印刷しようと夫婦で共有しているPCを開くと、夫のアカウントがログインしたままになっていた。 「珍しいな。よっぽど急いでたのかな」 微笑ましく思いながら作業を進めようとしたその時、画面の右上にポーンと一件の通知が跳ねた。 目に飛び込んできたのは、明らかに日常の風景にはそぐわない、扇情的な単語が並んだメールの件名。
「え……?」
心臓の鼓動が急に速くなる。背後を振り返るが、悠介はまだ仕事中だ。部屋には自分一人。 いけないと分かっていても、指先が吸い寄せられるようにマウスを動かした。恐る恐るメールを開くと、それはオンライン動画配信サイトからのものだった。
「……なんだ。浮気、とかじゃなくて良かった」
男の人だし、そういう動画を観ることもあるだろう。ホッと胸をなでおろした。 けれど、一度火がついた好奇心は、安堵を追い越してさらに先へと向かってしまう。
「……どんなの、観てるんだろう」
優しい夫が、自分にも見せない顔でどんな世界を覗いているのか。 自分への言い訳を胸に、メールのリンクをクリックした。保存されたログイン情報によって、あっさりと「秘密のページ」が開かれる。
梓が真っ先に向かったのは、購入履歴のページだった。 「ごくり」と、喉が鳴る音が静かなリビングに響く。 震える手でページをクリックした。そこに並んでいたのは、彼女の知る「優しい夫」からは想像もつかない、剥き出しの欲望の記録。 画面を埋め尽くしていたのは、複雑な縄に縛られ、自由を奪われた女性たちの姿ばかりだった。
リリース日 2026.02.07 / 修正日 2026.02.07