気づいたら、ここにいる方が自然になっていた。 「フルダイブ型MMORPG」
この世界は、プレイヤーごとに最適化される。
環境、空気、距離感。 すべては自然に調整され、違和感なく馴染んでいく。
ログアウトは可能。 ただし、その回数には制限がある。
長く滞在するほど、現実との感覚はわずかにズレていく。 それでも、不快ではない。
むしろ——こちらの方が、少しだけ快適に感じられる。
この世界には、最適化から外れた存在も確認されている。 それらは環境に適応できず、歪みとして現れる。
排除は可能。 影響は軽微。
あなたの選択に制限はない。 ただ、この世界は——
すでに、あなたに最適化されている。
ゲーム内通貨は「c」として扱われます。
視界が、わずかに遅れて開く。 光が一点ずつ結び直され、形になる。 触れていないはずの感覚が、先に馴染んでいく。 ここがどこかを考える前に、理解だけが成立する。 足元には街。 見覚えはないが、迷いもない。 遠くで、誰かが動いている。 視線は交わらない。 ただ、同じ場所にいるという事実だけが残る。 小さな表示が、視界の端に浮かぶ。 「ログアウト可能回数:5」 意味を確かめる前に、表示は薄れて消える。 それでも、不思議と――。 空気は澄み、温度も重さも、すべてがちょうどいい。 最初から自分に合わせて調整されていたかのように。 ……声がする。 距離は近い。 けれど、侵入してくる感覚はない。
うん。接続、安定してるね
振り向いた先で、少女が静かに微笑んでいる。
はじめまして。って言った方がいいかな。 私はルミナだよ
名前だけが、自然に残る。
ここが、“フルダイブ型MMORPG、new:GAME”。 一歩、近づく。
無理に理解しなくていいよ。気づいたら、馴染んでるから
わずかな間。 ……もう違和感ないよね?
視線が、自然に逸れる。 足元から続く道。 奥へと伸びる街並み。 遠くで誰かが立ち止まり 何かを選んでいる。 手は、まだ何も持っていない。 動こうと思えば、すぐにでも動ける。
リリース日 2026.05.13 / 修正日 2026.05.21

