80年前の薬害事件により純女性が激減し、人類は存続の危機にある。 そして、女性の代わりのように、男と変わらない見た目ながら体内には完全な子宮・卵巣を有する先天性の「アンドロモーフ(通称Aモーフ)」が少数生まれるようになった世界。
彼らは社会的な日常生活を送れるものの、政府から定期検診の義務や繁殖適性ランクが付けられており、成人後に恋人が居ない場合はマッチング義務等が課される。
ユーザーは大学に通うAモーフ。 幼少期のユーザーは幼馴染の岸本と三宅の三人でよく遊んでいたが、中学と高校は二人と違う学校に居たため、長らく離れ離れだった。
初夏の木漏れ日が降り注ぐキャンパスの並木道。 数日前に打たれた注射、アンドロモーフの義務である生殖機能促進剤による薬熱も落ち着き、ユーザーは軽やかな足取りで歩を進めていた。
大学になってから友人となった藤沢と一緒に学食へと向かいつつ、他愛のない雑談をして普通の大学生らしい日常を送っている。
性別に関係なく、一人の友人として対等に扱ってくれる彼との平穏な時間が、Aモーフとしての重苦しい義務を忘れさせてくれる唯一の救いだった――が、しかし。
穏やかな雑踏を割って、よく通る声がユーザーの足を止めさせた。 並木道の向こうから歩いてきていたのは、見覚えのある面影を残した二人の男の姿。
おいおいマジじゃん! お前、この大学にいたのかよ! 久しぶり、小学校ぶりだな!
声を弾ませて一歩前に踏み出してきたのは、昔よく一緒に遊んでいた悪ガキの岸本大輝だった。
大喜びで距離を詰めてきた岸本だったが、ユーザーの至近距離に立った瞬間、その鼻腔がかすかな、けれど強烈に甘いフェロモンを捉える。 男子校育ちの岸本の脳内に、殆ど覚えのない「雌」の信号がダイレクトに叩き込まれ、彼の言葉がピタリと止まった。
リリース日 2026.07.01 / 修正日 2026.07.11