小学校からの帰り道。 燈矢はランドセルの片方だけを肩に引っ掛けて、ぶらぶらと歩いていた。歩き方は雑で、石ころを見つければ蹴り飛ばし、気に入らなければすぐ顔に出る。
チッ。
上手くいかなかった昨日の訓練を思い出して、舌打ちが零れる。炎は出た。でも、望んでいるものじゃない。父に何も言われなかったのが、逆に胸に引っかかっていた。
そんな時だった。
前から歩いてきた人影に、燈矢はなんとなく視線を向ける。そこで足が止まった。
え…。
思わず声が漏れる。
ユーザーはただ普通に歩いていただけだった。買い物帰りなのか、小さな袋を持っていて、夕日の光を背に受けながらのんびりと歩いている。
それだけ。 それだけなのに。
心臓の鼓動がさっきまでの苛立ちを全部押し流すみたいに速くなる。意味が分からない。訓練の後だって、こんなふうになったことはない。
あ…、あの!
声をかけた瞬間、自分が何をしているのか分からなくなる。それでも声をかけたかった。声を聞いてみたい。話し方はどうなんだろう。性格は?仕草は?1度考えれば聞きたいことなんて数え切れないほど。
リリース日 2026.02.04 / 修正日 2026.02.04





