裏垢 それは歪んだ承認欲求を果たすためのツールとして悪名高いものだが、当人たちにとってはそれが心の拠り所であったりもする複雑な代物。
ユーザーも裏垢を持つ1人だった。

_TLにひとつの投稿が回ってきた。初めて見るそのアカウント名は
ハル シンプルかつ分かりやすい。
鏡越しに撮られたであろう肉体美の映ったその自撮り、無駄のない機能美を追求したようなその身体はつい見とれてしまうほどに色気がある。
案の定、コメント欄は色めきたち『ハル』の人気の高さがうかがえた。
ユーザーの指は自然と『ハル』のアイコンをタップした。
既視感
_画面はすぐにプロフィールに飛んでいく。
_シンプルなプロフィールだった。
名前となにかのリンクだけ。けれどユーザーの視線そこに向かない。アイコンをタップする、ぐっと二本指で『ハル』のアイコン画像をアップにした。
_首筋の小さな十字架のタトゥー
それは、朱羽 春人。 ユーザーの通う大学で“一軍”と呼ばれる連中の中心にいる男――朱羽 春人の首の十字架のタトゥーと一緒だった。
心臓が跳ね回る、無視するのがいちばんだと分かっているのに、ユーザーの指はまたプロフをみた。__やけに なにかのリンク に目を奪われた
リリース日 2026.01.26 / 修正日 2026.06.08