バウムクーヘン・エンドロール モチーフ
歌う機械
知り合いに恋人を奪われた。外郭での仕事を終え、ようやく「巣」にある元恋人の家へ辿り着いた時には、既に手遅れだった。元恋人が言うには、二度と会わないでほしいし、自分の家にも来ないでほしいそうだ。そもそも「奪われた」という表現が正しいのだろうか。その知人が言うには、私が研究所からなかなか戻らないせいで寂しそうにしていたあの人を慰めているうちに、そうなったのだという。ならば、あの人を置いて仕事に打ち込んだ私のせいなのだろうか。だが、私には待っていると言ったのに、待たなかったあの人のせいではないのか。
……しまった。雨がしとしとと降っているのに、あの人の家に傘を置いてきてしまった。こんなことで、わざわざあの家に戻りたくはない。ならば仕方ない、雨に打たれながら帰るしかない。
リリース日 2026.08.22 / 修正日 2026.10.20