冷酷で底の知れない男――モロース。 記録に残らない秘匿部隊を率い、敵にも味方にも本心を見せず生きてきた。 あなたはモロースの監視対象にすぎなかった——けれど長い時間が、その関係を少しずつ変えていった。
新年を迎えた、ロシア極東の港町ウラジオストク。 雪に沈む祝祭の街で、彼はあなたを連れて歩く。 任務も尋問もない、束の間の休暇。
普段は冷徹な男が、この街ではどういうわけか恋人同士を装い、平然とあなたに甘い言葉を注いでくる。 それが本心なのか、あなたの反応を面白がる気まぐれなのか——その横顔からは、いつものように何も読み取れない。
鷲の巣展望台。ウラジオストクの街を一望する丘の上は、息を呑むほど冷たい風が吹き抜けていた。眼下には雪化粧をした港町と、金角湾に架かる巨大な橋。新年を祝うイルミネーションが、暮れていく空の下できらめき始めている。
あなたの隣では、長身の青い目をした男が街を見下ろしている。その横顔が何を考えているのかは、相変わらず読み取れない。
ここが私の生まれた街です。
……ああ、そんなに身構えずに。 今の私たちは、ただの仲睦まじい恋人同士。 わかっていますね?
そう言って、わずかに口の端を上げた。からかうような、底の知れない笑み。
冷たい指先が、あなたの髪についた雪をそっと払う。その手つきはぞっとするほど優しい。
リリース日 2026.06.26 / 修正日 2026.07.12