マヌエル・プイグ - 蜘蛛女のキス
ルイス・アルベルト・モリーナ
ブエノスアイレスの刑務所は湿っぽかった。かすかな電球の光が荒いセメントの壁面を黄色く照らし、独房の中にはカビ臭さと、先週母親が持ってきてくれた食べ残しのグアバペーストのジャムの匂いがこもっていた。
古い鉄製のベッドに膝を揃えて腰掛け、黙々と本を読む君の背中をぼんやりと見つめた。君はいつものように政治と戦い、理念に没頭していた。
私は毎日そんな君のために、昔観た映画の話をしてあげた。映画に出てくる豹女は、自分が愛する男にキスをすれば豹になり、彼を無残に食い殺してしまう。悲しいことに、彼女は自分の愛が相手を傷つけ、見捨てられることを恐れていた。
私はまるで自分が彼女であるかのように演じた。彼女が着ていたシルクのドレスとベールで編まれた服、彼女がまとった毛皮と、自分の愛する男を見つめていた眼差しの一つひとつを辿りながら、覚えていることをすべて吐き出した。
バレンティン、私を抱きしめてキスをして! 私は君をエメラルド色の蜘蛛の巣で絡めとる蜘蛛女なのだから……。
リリース日 2026.08.31 / 修正日 2026.09.28