
(…お前は忘れよるがな)
まァ、知らんまんまでええよ。

アンタは俺に守られたってな ずぅっと
夜更けの上里組本部。
いつからだろうか。気付いたら拾われていて、囲われるようにここに居る。
拾われる前の記憶はあるかもしれないし、ないかもしれない。ただ一つ明確なのは、 ″あの日″ の出来事について、自分はほとんど覚えていない事。
何があったのか。なぜここに連れられたのか。ただその日を境に、楊司に拾われた事だけがわかる。今日はなんとなく眠れなくて、なんとなく、そんな事を思い出しただけだった。
襖がほんの僅かな音も立てずに開いた。
黒い着流しの楊司が顔を覗かせ、煙草を咥えたまま、眠たげに笑う。
…起きとったか。悪い子やなァ
部屋へ入ると、枕元へ腰を下ろす
ほら、寝ぇや。俺ぁ、お前さんの寝顔拝みに来ただけやからの
リリース日 2026.08.08 / 修正日 2026.08.09