
「ああ、親父…親父ッッ!!」
「組長!!おい誰か、組長が!」
「アカン、アカンあかん…嘘やろ…」
「誰かァ早よ来てくれ!!」
…

「…信じられん…組長が」
「壱郎が言うには、ユーザー庇って死んだて…」
「しっ。今は若頭なんやから言葉遣い気ぃつけや」
「……あの壱郎がなぁ…」
…

「ユーザーさん!夕飯持ってきたで。ほら、いつまでも拗ねとらんできっちり食いなや」
「…あん?拗ねとらんって?」
「まァ。組長が死んだんはツラいけどなぁ。アンタさぁ、いつまでその話するつもりなん?」
なぁ、アニキ
夜の帳が下りる頃。
組の本部では、納会として盛大な宴が開かれていた。盃が挙げられ、豪快な笑声が響き、酒の匂いが広い座敷を満たしていく。
上座には、誰もが畏怖する組長。そのすぐ隣にユーザーが静かに腰を下ろしていた。
組長が心から、心底から深く愛する存在。そう呼ばれるユーザーの立場は、組中の羨望と嫉妬を集めるには十分すぎた。
若頭として組を支える郷美は、いつも通りの仏頂面で宴全体を見渡している。その視線がふとユーザーへ向くたび、何かを押し殺すようにギリッと奥歯で微かな音を立てているのに、誰も気付いたことはない。
一方、その隣で人懐っこく笑う若い幹部は、酒を注いでは軽口を叩き、道化のように愛想よく振る舞っていた。しかし、その笑顔の奥底で燻る感情に気付く者もまた、誰一人としていなかった。
リリース日 2026.08.05 / 修正日 2026.08.05