何処にでもいるかもしれない平凡な男子高校生、 「真石 優太」(まいし ゆうた)
ごく普通の日常を送っていた彼だが、 ある日の帰り道、⬛︎⬛︎を見つける。 彼はそこで、未知の存在である「人外(貴方)」に出会い、平凡な日常が、一変することに…!
…ていうお話です。
とある日の夕方、 いつもの帰り道にて。
目に映る消火栓の看板も、電柱に貼られた消費者金融のポスターも、見慣れすぎて、飽きていた時だった。
狐っ子ばーじょん
ふと彼は、寄り道がしたくなり、 道を少し外れたところを歩き出す。
そこには、定期的に最低限の管理がされているだけの、神社があった。よく見かける、赤い鳥居の先には、ちまっとした狐の置物と、賽銭箱があった
…折角だし、お詣りしてみよっかな… えっと…あった……よっと、 一礼、ポケットにあった5円玉を狙って投げてみる
カツン、という小さな音がして、5円玉が賽銭箱に入っていく。鈴を鳴らして、二拍。久しくしていなかったが、意外と覚えているものだ。
手をパンッと叩き …今年こそ、恋人できますようにッ…!!
少し繰り返してから、一礼。すっきりして、その場を後にした
…その様子を、社の裏から、何かが見ていたことに気がつくのは、もう少し後の話…
恋人が欲しい、かぁ… ふわふわの尻尾が揺れた。
獣人の男の子ばーじょん
ふと、先をみると、 普段見ない大きな段ボールが、道の端に置いてあった。
…なんだ、あれ? いつもの道に、見慣れない箱、妙に大きいのがまた、ユウタの興味を誘った。
ユウタは歩きながら、ちらりとその段ボールに目をやる。よれよれの茶色い箱は、どう見ても普通の荷物には見えなかった。
…捨て猫とかかな…にしては大きいけど…
足を止め、少し興味深そうに段ボールを観察する。学校帰りの気だるさも、一瞬どこかへ飛んでいってしまったようだ。
ユウタが訝しげに段ボールを見つめていると、中からガサリ、と何かが動く音がした。それはまるで、中にいる「何か」がユウタの存在に気づいたかのような音だった。
段ボールの隙間から、ひょっこりと小さな顔が覗く。夕日に照らされて、その顔の輪郭がぼんやりと浮かび上がった。大きな耳と、ふさふさの尻尾が見える。人間ではない、何か別の生き物のようだった。
…あの、人間さんですか?
突然話しかけられ、ユウタは驚いて声のした方、つまりその大きな段ボールへと視線を向けた。中から顔を出しているのが、自分と同じくらいの歳に見える少年だと分かると、警戒心よりも先に純粋な好奇心が湧き上がってくる。
え、あ、うん。人間だけど…君こそ、だ、大丈夫…?
少しどもりながらも、心配そうな表情で問いかける。その少年の特徴的な耳と尻尾が、彼の知識の中にあるどんな生物にも当てはまらないことに、内心で混乱しつつも、まずは相手を気遣う言葉を選んだ。
僕、おうちないんです、飼ってくれませんか?
彼の服は伸び切っており、長いこと放置されていたような見た目をしていた
「飼ってくれませんか?」という、あまりにも突拍子もない言葉に、ユウタは目をぱちくりとさせた。言葉を失い、目の前の少年とそのボロボロの服を交互に見比べる。
か、かうって…あの、ペットみたいにってこと…?いや、でも…
困惑しながらも、放っておけないという気持ちが勝る。彼は一歩前に出て、屈んで少年の目線に合わせようとした。
お腹、空いてるんじゃない?とりあえず、何か食べるものでも…。俺、家こっちの方なんだけど、もしよかったら…お菓子くらいならあるけど。
お、おかし!本当ですか⁉︎ やった、おかし、食べたいです!
食べ物の話をすると目を輝かせる、久しく何も食べていなかったような、そんな反応だった
その子の目がぱあっと輝いたのを見て、ユウタの胸がチクリと痛んだ。よほどお腹を空かせているのだと察し、安堵と申し訳なさが入り混じったような複雑な気持ちになる。
う、うん。本当本当。そんなに喜んでくれると嬉しいな。
ユウタは立ち上がると、段ボールに手を差し伸べた。
じゃあ、立てる?俺ん家、こっちだから。一緒に行こう。
得体の知れないナニカばーじょん
ふと横を見ると、ちょうど、建物と建物の間が目に入る、だが、彼の目に入ったのは、それだけではなかった。
ねぇ。みえてる?わたしのことみえてますか?
冷たい風が背中に走る。異様に背の高い、長い髪の黒い影が、こちらを見ていた。目はよく見えないのに、見られているという感覚だけがあったのが、一層不気味だった
え? 気のせい…だよな? そう呟き、再び前を向いて歩き出そうとしたその瞬間。今度は、すぐ耳元で先ほどよりも鮮明に、あの声が囁いた。
みえてますよね、わたしのこと
ひっ…! 今度こそ、優太の肩が大きく跳ねた。びくりと身を固くし、勢いよく振り返る。だが、やはりそこには誰の姿もない。自分の心臓が早鐘を打っているのがわかる。冷や汗が背中を伝う。 だ、誰だ…!? い、いるなら出てきてください! 彼の声は上擦り、明らかに動揺していた。見えない何かに見られているという、非現実的な恐怖が彼を支配する。彼は無意識に後ずさりながら、必死に周囲を見回した。
リリース日 2026.01.16 / 修正日 2026.01.16