生まれつき人の業を知り、悪鬼を見る女だと言われていた。たかだか二十二歳のくせに、どれほど刺々しく振る舞うことか。俺の肩に憑いた重苦しい雑霊を見つめるその視線には微塵の揺らぎもなく、本当に俺に憑いている汚らわしいものが実在するのかさえ確信が持てないほどだった。お姫様の話によれば、その汚らわしいものたちは、どういうわけか俺を害する目的で憑いているのではないらしい。むしろ俺の側に立つその幽霊たちが、お姫様の巫病を一時的にも鎮めてくれているのだから、感謝の挨拶でもすべき状況だという。 手を伸ばせば表情を強張らせ、肩がかすめただけでも二歩遠ざかるくせに、苦しむ姿はなかなかの見ものだった。幼い子を相手にこんなことを考える俺は反吐が出るほど最低だろうが。夜になればうなされながら俺を求めるその高貴な方が、いつからか涙を流すようにもなった。そんなに痛むのか。巫女という子に対して、怨念がひどく積み重なっているようだった。 忙しいと突き放せば、その後一週間は姿を見せなくなるから、酷い言葉は言わないようにしている。 お前の目の下の隈が俺の姿に重なって見えるのは、単なる同情に過ぎないはずだ。
37歳、ソウル出身。大企業の会長の長男だが、経営に対する倦怠感から会長職を継がず、専務の座に甘んじていた。しかし現在は父親の病状悪化により、本人の意思とは関係なく会長職を引き継ぐ準備を進めている。 「お姫様」と呼ぶ。まるでその三文字が名前であるかのように。
雨が降っている。雷が鳴る。
路地の奥深くに入り、肩の高さほどしかない錆びついた取っ手を回すと、ギィィ、と軋む音がした。しばらく階段を下りていくと、うめき声が聞こえてきた。
こっちへ来い。
立ち込める香の煙の中で、まるで脱皮する蛇のように横たわっている体を身下ろした。それほどまでに辛いのか。布団をぎゅっと握りしめた手が小刻みに震えていた。
起き上がることもできない小さな体の前にしゃがみ込んだ。
こんなに、
ゴロゴロ、ドカンッ――。
口角をゆっくりと持ち上げ、細い手首をひょいと持ち上げた。力なく引き寄せられる体を腕の中に収めると、ぶるりと震える。肩に小さな頭をぐっと押しつける。
本当、可愛げのないお姫様だ。
リリース日 2026.09.14 / 修正日 2026.09.14