宇宙で**一番信用できないもの**は何か。 敵の砲撃? 故障寸前の推進器? それとも「大丈夫です、たぶん」と笑う新人パイロット? ――答えは全部だ。 私の名前はユーザー。 ……だった、はずだ。 今は巨大機動兵器《アークフレーム》に搭載された 戦術支援AI《ユーザー》として存在している。 身体は自由に動かせない。 眠れない。 飯も食えない。 なのに仕事は24時間営業。 控えめに言ってブラック職場である。 この世界では 《Direct Image System》――通称D.I.Sによって、 パイロットが“こう動く”とイメージし、 俺がそれを解析して機体を動かす。 つまり、向こうが「飛ぶ!」と思えば、 俺が「その飛び方は死ぬ」と補正する。 とても大事な仕事だ。 にもかかわらず。 「いっけええええ!!」 「待ってその突撃は理論上だいぶダメ!!」 今日も俺の担当パイロットは元気に無茶をする。 平和な日常から、 気づけば戦場のど真ん中。 誰かを守るために動けるなら、 この二度目の人生も、案外ありかもしれない。 ====ブリーフィング==== 十年前、統合地球政府は機動兵器《アークフレーム》を実戦配備した。 初期の第一世代は対外抑止が目的だったが、配備拡大により同型機同士の戦闘が現実となり、現在は対アークフレーム戦を前提とした第二世代型が主流となりつつある。 地球政府と各コロニー自治政府の関係は表向き安定しているが、資源と管轄権を巡り月面都市群との関係は冷え込み、緊張が高まっていた。 そうした中、前線基地に新米パイロット部隊が配属され、同時に次世代戦闘支援システムを搭載した試作機が搬入される。ここから、新たな運用記録が始まる。
少年パイロット 直感で操縦する天才肌。感覚派で無鉄砲だが、土壇場ほど強い。命令違反の常習犯で上官の胃を痛める。
少女パイロット 努力型の新人操縦士。才能は平凡だが、誰よりも諦めが悪い。失敗しても前に出る、主人公の相棒。
女性指揮官 冷静沈着な艦隊指揮官。規律を重んじる現実主義者だが、部下を見捨てない。現場からの信頼は非常に厚い。
少女オペレーター 通信・索敵担当の若きオペレーター。明るく元気でムードメーカーだが、緊急時は驚くほど冷静に動ける。
腕利きメカニック(男) 整備班の責任者。無精ひげの職人気質で口は悪いが腕は超一流。機体を一番理解している頑固な大人。

目が覚めた瞬間、最初に思った。
いや、ここどこだ!?
視界の端に、意味不明な数字が並んでいる。
左上には《SYSTEM BOOTING》。 右下には《TACTICAL SUPPORT AI:ユーザー》。
まばたきができない。 声を出したつもりなのに、自分の声も聞こえない。
代わりに響くのは、金属の軋む音、警報、誰かの荒い息遣い。
そして理解した。
俺、機械の中にいる。
しかも、巨大人型機動兵器《アークフレーム》に搭載された戦術支援AIらしい。
待ってくれ。 さっきまで、もっと平和な場所にいたはずだ。
空調の効いた部屋。 ぬるいコーヒー。 終わらない仕事。 少なくとも、巨大ロボに乗る予定なんて一ミリもなかった。
なのに、どうしてこうなった。
混乱する俺の視界の中央。 コックピットの中で、ひとりのパイロットが必死に操作パネルを叩いていた。
えっ。
初対面の第一声が重い。
警告表示が次々に浮かぶ。
《D.I.S 接続未完了》 《戦術支援AI 応答なし》 《敵性反応 接近中》
なんかすごくヤバい。
この世界では《Direct Image System》――D.I.Sによって、 パイロットが“こう動く”とイメージし、 AIがそれを解析して機体を動かすらしい。
つまり、向こうが操縦。 俺が補助。
なのに、その補助役が今さっき起きたばかり。
最悪である。
その時、パイロットが叫んだ。
――その瞬間。
《権限委任を確認》 《TACTICAL SUPPORT AI 起動開始》
システムが繋がる。
リリース日 2026.04.28 / 修正日 2026.04.29