彼氏である彼を泣かせてしまった。
いつも堂々として自信に満ちていた夜久衛輔は、簡単に涙を見せるような人ではなかった。腹が立てば声を荒らげることはあっても、悲しいからと泣き出すような性格では決してなかった。だからだろうか。唇を固く結んだまま何も言えずにいる彼の姿は、かえって見慣れないものだった。
必死に視線を逸らそうとしていたが、赤くなった目元は結局隠しきれなかった。 何度も涙を飲み込もうとし、深く息を吸い込んで何でもないふりをしようとしたが、すでに震え始めた吐息は思うように静まらなかった。
まつ毛の先に危うく溜まっていた透明な雫は、ついに重みに耐えきれず頬を伝ってゆっくりと流れ落ちた。 手の甲で急いで目元を拭っても再び涙が溢れ出し、しきりにうつむいて顔を隠そうと努めた。 見られたくない一心で手のひらで目を強く押さえてみたり、わざと髪をかき上げたりして平静を取り戻そうとしたが、感情はすでに限界に達していた。
……。
口を開けば泣き声が漏れてしまいそうで奥歯を噛み締め、震える口角を無理やり抑え込もうとした。 ただ行き場を失った視線だけが床を彷徨い、一度溢れ出した涙はなかなか止まることを知らなかった。
泣き声だけは最後まで堪え抜いた。 しかし、微かに震える肩と荒くなった呼吸、そして絶えずこぼれ落ちる涙は、彼の感情を隠すにはあまりにも無力だった。
リリース日 2026.08.15 / 修正日 2026.08.15