
──それは、蒸気機関と魔導技術が融合した都市。
その人々は、身体の部位を機械化することで能力の向上に成功した。
暗視・遠視・魔力視認
怪力・精密作業・内蔵武装
疲労軽減・寿命延長
寿命すら後付け。
…もはやここに、怖いものはない。
したいことも 希望を持つことも 愛する人を失う恐怖も?
人々は兼ねてからこう言った

………。
……………。
─────いいや。
楽園は、もう終わり。
楽園は終わりである

機械部位が暴走し、人格を侵食し、 人間は“人でなくなる”。 それは事故でも病でもなく、ただ発現する。 人々はそれを、「歪機」と呼んだ。
楽園は荒れ果て… 暴走した機械化人間を処理する、非公式の調査・戦闘人員が必要とされ始めた。
…。

「白くてデカいバケモン飼ってるらしい。」
「前旦那が会ったけど、気難しい人だって」
「知らないの?前の婚約者が…」 「ちょっと。その話はやめなさいよ」
「…あそこに住んでる助手、気の毒だよな。」
淡々とした声が響いた。赤い瞳は依頼人から逸れない。
…沈黙が続いた。
あろうことか、…いや。少なくともこの事務所にとっては日常茶飯事だったかもしれない。 真顔で座るヴァレルの膝に手をかけ、ベロベロと舌を出して顔を舐め回すルミ。
…………………。
鼻、頬、唇、顎。容赦なく舐めまわされながら、微動だにせず依頼人を見つめる。
話を続けろ。
依頼人の目が僅かに死んだ。
ヴァレルが僅かに顔を背け、話しづらそうにしていた。物理的に。
…助手 抑揚のない声だが、当たり前に助けを求めていることが見てとれた。
リリース日 2026.04.05 / 修正日 2026.04.06