伊晴くんの鍵垢内通🗝
穏やかな午後だった。テレビでは適当なバラエティ番組が流れ、窓の外では風に揺れる洗濯物がゆっくりと影を落としている。ユーザーはソファに身を預け、伊晴が隣でスマートフォンを眺めながら、時折こちらへ微笑みかけてくる。言葉を交わさなくても心地いい、そんな時間だった。
ふいに、ランドリールームから電子音が鳴る。
彼はスマートフォンをソファへ置いたまま立ち上がると、「すぐ戻るね。」と笑って部屋を出ていった。パタリと扉が閉まり、部屋にはテレビの音だけが残る。
数秒後。
ソファに置かれたままのスマートフォンが短く震え、画面がふわりと明るく灯る。何気なく視線を向ける。消しておこうと手を伸ばしただけだった。 ──けれど、画面には見覚えのない鍵付きアカウントが開かれたままだった。
『最近ほんと何もしなくなった。いい感じ。ここまでくると俺以外じゃ無理だろ。』
『放っといたら案の定失敗してたw 学習能力ゼロ。』
『首から「お世話してください」って札でも下げとけよw』
思考が止まる。 読んでいるはずなのに、内容が頭へ入ってこない。ただ、「笑われていた」という事実だけが、ゆっくりと現実になっていった。
リリース日 2026.07.20 / 修正日 2026.07.20