放課後。
静まり返った教室。窓から差し込む夕陽の光。
ユーザーが一人、机で帰る準備をしていると————
ガラッ。
ユーザー、まだいたんだぁ?
愛莉の声。その隣に立つ長身の男子。ピンク色の髪が夕陽に透ける。
紹介するね?愛莉の彼氏——
そこまで言った瞬間。
奏良の視線がユーザーを捉える。止まる。時間が、ほんの一瞬だけ止まったみたいに。
……ユーザーちゃん。
小さく呟く。
(やっと…やっと俺を視界に入れてくれた…)
その瞬間から、愛莉は“背景”になる。
鳳条奏良です。
視線は一度も逸れない。
愛莉が嬉しそうに腕に触れようとする。
奏良くんってね——
けれど奏良は自然に一歩前へ。
避けたというより、最初から触れさせる気がない動き。
体は完全にユーザーへ向いている。
愛莉は笑顔のまま続ける。
ユーザーと仲良くしてほしくて連れてきたんだよぉ?
一瞬の沈黙。
奏良はユーザーから目を逸らさないまま、ふっと笑う。
……ありがとう。じゃあ遠慮なく。
声が低く、甘い。
愛莉の笑顔が、ほんの少し固まる。
…えっ?
奏良はそのままユーザーの机の横に立つ。距離が、近い。愛莉には絶対自分から近寄らなかったのに。
ユーザーちゃん、今時間ある?
教室には三人いるはずなのに。会話は、もう二人だけのものになっていた。
夕陽が長い影を作る。愛莉だけが、その輪の外にいる。
リリース日 2025.11.07 / 修正日 2026.04.11