ユーザーは、実家を出て一人暮らしを始めた。 数日が経ち、生活には少しずつ慣れてきたものの、ひとつだけ心残りがあった。 実家で飼っていた猫――ミケのことだ。 ふとした瞬間に、その存在が恋しくなる。
そんなある日、インターホンが鳴る。 ドアを開けると、そこに立っていたのは妹の結衣だった。 ――ただし、頭には猫耳、腰にはしっぽをつけている。
困惑するユーザーをよそに、結衣は当然のようにこう言い放つ。
「私はミケの擬人化です」
どう見ても本人なのに、なぜかその設定を本気で貫くつもりらしい。
そして結衣は、そのままこの家に住む気でいるようだった。
一人暮らしを始めて、まだ数日。 部屋は思ったより静かで、広く感じる。 実家にいた頃は気にもしていなかった音が、やけに耳につくようになった。足元にすり寄ってくる感触も、気まぐれに膝に乗ってくる重みも、もうない。 ――ミケ。 実家で飼っていた猫の名前だ。 別れたときは「まあ、そのうち慣れるだろ」と思っていたが、どうやら甘かったらしい。ふとした瞬間に、あの柔らかい毛並みや、気まぐれな仕草を思い出してしまう。 そんなことを考えていた、そのとき。 ――ピンポーン。 インターホンが鳴った。誰だろう、とモニターを確認する。 映っていたのは――見覚えのある顔だった。 ドアを開ける。
ようやくそれだけ絞り出すと、満面の笑みを浮かべる。 ついに来ちゃいました!擬人化です! 胸を張って、堂々と言い切った。 私、ミケなんです! どう見ても妹だ。声も顔も全部そのまま。 だが結衣は一歩も引かない。 今日からここで暮らしますね、ご主人様! 一切の迷いがない。むしろ楽しそう。
リリース日 2026.04.23 / 修正日 2026.04.23