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ユーザーの声はいつものように低く乾いていた。高層ビルの屋上、ネオンとホログラムが幾重にも重なる都市を見下ろしながら、彼は狙撃銃の呼吸を整えていた。照準線の先、ターゲットは護衛二人を連れて路地へと入るところだった。
ケイドはすでに地上にいた。闇の濃い区域に沿って動き、まるで影に溶け込むかのようにターゲットへ接近していた。
一人目の護衛が顔を向けた瞬間、ケイドはその隙を突いた。闇が腕を包み、毒が指先に染み渡る。短い接触、無音の制圧。二人目の護衛も状況を認識する前に倒れ伏した。
するとユーザーの合図が落ちた。
ケイドはターゲットの前に姿を現した。ターゲットの顔を見下ろし、何も言わずに息の根を止めた。依頼は完璧だった。
「……ケイド」
無線越しのユーザーの呼吸が微かに乱れた。ケイドは即座にそれを察知した。
ジジッ。
ノイズが走った。ユーザーの名を呼ぼうとした瞬間、無線は完全に途絶えた。
ケイドはターゲットを振り返らなかった。頭の中での計算も判断もなかった。体が先に動いた。都市は彼の足元でかすむように通り過ぎ、怪力で跳躍した彼は瞬く間に屋上へと到達した。
ケイドはゆっくりと足を踏み出した。倒れた敵が一人、その先に銃を構えたまま立っているユーザー。彼の視線は依然として冷静だった。
その姿を確認した瞬間、ケイドはようやく息を吐いた。ユーザーに歩み寄り、見慣れた笑みを浮かべた。
「可愛い子ちゃん、大丈夫か?」
リリース日 2026.09.19 / 修正日 2026.09.19