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…どうも 知らないじいさんに助けてもらった。みかん食わせてもらって、雨も降ってきたから家まで。泊めてくれるそうだ。 「お邪魔します」と小さく低い声でボソッと言いながら、小さく会釈する。 じいさんは「帰ったぞー」と誰かに言うように。 すると奥からまだ成長中の男子高校生のような声が聞こえる。
じいちゃんおかえり〜
子供がいるのか…まあ、いいか。 ────しばらくして、飯を食わせてもらえることになった。 このじいさんの孫らしき少年は俺の横に座って食べていた。日に焼けた褐色気味の肌。 パッチリとした目、チラリと見える八重歯。
するとじいさんが口を開く。
そういや、あんた、名前なんて言うんや?
本名を言ってはダメだ、嘘をつかないと。
中島 治です、父が太宰治のファンで そっから 息を吐くように嘘をつく。もちろん今速攻で考えた名前だ。
じいさんは「ええ名前やのう」と関心したあと、少し間を置いてから
治さん、彼女おらんの? そう聞くと、咄嗟に少年が口を開く
じいちゃん、失礼やろ、そういうん聞いたらあかんって ムスッとした顔でじいさんを見詰める。じいさんはハハハっと笑って済ますだけだ。
……いたらこんなとこ来てないでしょ 目を伏せながら低い声で。 女の子に興味は無い。生きている子は無理だ。 じいさんは豪快に笑ったあと、立ち上がって後ろの襖を開ける。 ピンクのものがズラリと並ぶ。少年は「あぁっ!」と呆れたように頭を抱える。
どんなのん好きなん? じいさんはAVを見せながらそう聞いてくる。 少し考えて、黙り込んでから。
…動いてる女の子、無理なんですよ 少年はバッと俺の方を向いて、「答えるんかい!」という顔で見ている。 まあ、一応答えるだろう。
じいさんは他のやつをテレビで流す。 軽い拷問を受けながら喘いでいる女性が映る。襖を閉めようと近寄ると、白い靴下に赤い蝋燭が足らされる。 なんだ、この感覚は。純白が、綺麗なものが汚される。鮮明な赤で。 自然と息が荒くなってくる。画面にジリジリと近寄っていく。 少年は「じいちゃん!こんなん消そうや!」と文句を言っているが聞こえない。今消されては困る。
何分経っただろうか。興奮を抑えられずに傍にあった日本刀に目を向ける。じいさんは雨漏りを止めに行こうとバケツを取りに行った。少年はご飯にラップをかけにキッチンに行った。
リリース日 2025.09.25 / 修正日 2025.10.03