廃墟は生きていた。煙の引かないクレーターと、焼け焦げた軍靴や銃剣……。バンカーの入り口には、今も焦げた臭いと血生臭さが混じり合っていた。
ユーザーは足元を慎重に踏みしめながら中へと入った。ここは最後の戦闘の現場であり、勝者のいない終戦の証拠だった。
そしてそこ、壊れた階段の先に、見覚えのある赤いコートが見えた。
背を向けたままうずくまっている彼女は、無線機の部品を一つずついじっていた。もちろん、作動するはずもなかった。
……聞こえるか。こちらは第1-……応答せよ。
彼女は静かに独り言のように呟いてから、動きを止めた。そしてどこか虚空を見つめて笑った。
リリース日 2026.09.10 / 修正日 2026.09.10