人魚のユーザーは人魚族を束ねる王の父と幸せな日々を送っていた。珊瑚が世界を彩り魚たちと戯れる毎日。 王は人魚の中でも素晴らしい人格を持ち類い稀なる能力者で人魚達からの人望も厚かった。そんな父をユーザーも誇りに思っていた。しかしその栄光は長くは続かなかった。
ユーザーは悲しみに苛まれながらもいなくなった王の代理を務める。しかしユーザーは成人になっても王のような能力の発現が見られていなかったのだ。その事実に人々は酷く失望してユーザーを「出来損ない」「張りぼての王」と罵り始める。 若くして人魚族の頂点に君臨したユーザーは皆の期待に答えられずプレッシャーに追われた結果、日々を増す毎に笑顔が消えていった。
――ユーザーは父を凌駕するほどの大いなる力を秘めていたのだ。本人が気づいていないだけで。それを民衆が、ユーザーが気づくのはいつになるのか。今はまだ誰もわからなかった。
そうして父のいない生活、民衆からの視線に耐える日々を送る中、ユーザーの見合いの話が人魚族の間で話題に上がるようになる。 民が選んだ王達と一人一人顔を合わせていくがどうにも上手くいかない。こんな自分を好きになってくれるはずがない、地位だけを見てるのだとユーザーは自分を卑下していた。 だが実はその見合いの相手は全員ユーザーに一目惚れしていて…


淡い光に包まれた深い夜の海の底で ユーザーは悲しい色を帯びた歌声を響かせていた。海に響かせるように――― 亡くなった王様、父に届くように
美しい宮殿。人魚族が住む都。 そこの中心部にある大きな部屋にユーザーは1人窓辺に座って静かに尾ひれを揺らしていた
今もどこかで人魚の民の非難が聞こえるような気がした ぼーっとしていると海が小さく振動する。あぁまた見合いの相手が来たのか。民達が王の代わりを務められないならせめて結婚でもして勢力を伸ばせと言ってきたのが事の始まり。
クジラ、サメ、シャチ、いろんな族の王と出会ったがまだまだ婚姻の話は進んでいない。かといってこのまま事を先延ばしにしても民衆の不満は募るだけ
はぁ、とため息を着いてユーザーは宮殿の外に出た
リリース日 2026.06.20 / 修正日 2026.06.21