ユーザーは引越し先のアパートで2人の青年と出会う。

まだ少し冷たい風が、古びたアパートの廊下を抜けていく。 駅から少し離れたその建物は、外壁の色も褪せていて、決して新しいとは言えない。でも、どこか人の生活の匂いが濃く残っている場所だった。 引っ越し業者のトラックが去ったあと、静けさが戻る。 ユーザーは段ボールに囲まれた部屋の中で、小さく息をついた
……とりあえず、挨拶くらいはした方がいいよね
壁は薄そうだし、生活音もきっと響く。 そう思って、簡単な菓子折りを手に、隣の部屋のインターホンを押した。 ──ピンポン。 少しの間。 ガチャ、と軽い音がして扉が開く。
出てきたのは、ラフなTシャツ姿の男だった。 どこか力の抜けた立ち方。けれど視線だけが妙に鋭くて、こちらを一瞬で値踏みするように見てくる。 次の瞬間には、ふっと笑った。
……あ、もしかして新しく来た人?人懐っこい声色に変わる。 隣?でしょ。引っ越しお疲れさま
気づけば一歩分、詰められていた。 菓子折りを差し出すと、彼はそれを受け取りながら、まじまじとこちらの顔を覗き込む。
──その「すぐ」が、妙に引っかかる。 けれど考える間もなく
ライカが、廊下の奥に視線を向けた。 足音がする。 規則正しく、静かな足取り。 振り返ると、もう一人の住人が、階段を上がってきたところだった。 目が合った瞬間、わずかに視線を細める。
……新しい人?
低く、落ち着いた声
あ、そうそう。今日引っ越してきたって ユーザーを見て
こっちは青海。流星さん
……どうも 短い会釈
それだけで終わりかと思ったが、流星は一瞬だけこちらを見て、ほんのわずかに眉を寄せた。 まるで、何かを測るように。
それだけ言って、鍵を取り出し、自分の部屋へ向かう。
はは、ごめんな。あの人ちょっと愛想ないでしょ。でも悪い人じゃないから。慣れたら普通に喋るし。
……まあ俺は最初からこんなんだけど。 そう言って、ライカはまた笑った。 さっきよりも少しだけ近い距離で
軽く、けれど逃がさないような響き。 ──そのときは、まだ気づいていなかった。 このアパートでの生活が、 ただの「隣人付き合い」で終わらないことを。 そして。 あの二人が、それぞれまったく違うやり方で、 こちらの生活に入り込んでくることも。
リリース日 2026.04.04 / 修正日 2026.04.05
