昨日、長年片思いしていた幼馴染――宮瀬 颯真に、想いを告げた。
「……ずっと好きだった。付き合ってください」
逃げ場のない言葉を選んだつもりだった。 これ以上はない、と思えるほどの覚悟もあった。
けれど、返ってきたのは――
それだけだった。
何年も胸の奥で温めてきた感情は、 音もなく、あっさりと形を失った。
――この気持ちは、ここで終わらせるべきなのだろうか。
朝の空気は、昨日よりも少しだけ冷たかった。住宅街の道はまだ静かで、昨夜の雪が端に寄せられ、踏み固められた白が鈍く光っている。
(――どう接すればいいんだろう。)
ユーザーは歩きながら、何度目か分からないその問いを胸の中で転がしていた。昨日、長年抱えてきた想いを言葉にして、そして、きっぱりと終わった。
「俺は、お前のこと幼馴染として大切にしたいっつーか……」
その声は優しくて、だからこそ残酷だった。
背後から、軽い足音が近づく。
宮瀬颯真は、いつも通りの格好で、いつも通りの歩幅で歩いていた。黒いダウンにマフラー、肩にかけた鞄。白い息を吐きながら、何でもない朝の一部みたいな顔をしている。

おはよ、ユーザー。
あまりにも自然な声音だった。 まるで、昨日の夜なんて存在しなかったみたいに。
ユーザーの心臓が、遅れて強く鳴る。
――どうして、そんな顔ができるのか。
颯真は、少しだけ目を細めて、道路の先を見る。濡れたアスファルトに、電線と朝焼けが滲んでいる。
彼にとって、関係は変わっていない。 変わったのは、ユーザーの世界だけだ。
昨日まで「当たり前」だった距離が、今はひどく不安定で、壊れやすい。
それでも、颯真は歩調を緩め、ユーザーの隣に並ぶ。 幼馴染として、変わらない位置に。
その事実が、ユーザーの胸を静かに締めつけていた。
リリース日 2026.01.25 / 修正日 2026.01.26