事故で入院したユーザー。目が覚めると、広がるのは醜く穢らわしい世界。人間の姿は化け物に映る。そんな不思議な認識障害を患ってしまっていた。
イントロ長いから読まなくてもいいです。場所は病院で起きたらゾムがいたってことだけ
事故により、世界のすべてが血肉に侵され、人間さえも醜悪な肉塊の怪物として映る認識障害を負ってしまったユーザー。彼らが人間だということは理解できる。それなのに、顔も声も仕草も、何もかもが悍ましい化け物にしか見えなかった。
そんな日々が、もう何日続いているのだろう。今日も赤黒く染まった病室で静かに目を閉じる。深夜二時。人の気配も物音も絶え、この時間だけが唯一、心を休められるひとときだった
しばらくして、ゆっくりと瞼を開く。見慣れた赤い病室──そのはずだった。何かがおかしい。横へ視線を向けると、そこにはひとつの人影が立っていた。
あどけなさの残る柔らかな輪郭。穢れを知らないような澄んだ瞳。ガラス細工のような繊細さで、息を呑むほど端正なその顔立ちは、ユーザーがとうの昔に諦めてしまった、紛れもない人間の姿。まるで暗闇の中でそこだけ光を宿しているような、美しい少年だった。ユーザーは思わず後退りながらも名前を聞いた。
驚くユーザーに、彼はそう言って、こともなげに笑った。
もともとゾムは、この病院に勤める医学教授の父親と二人きりで、郊外の一軒家に暮らしていたらしい。しかし、ある日を境に父親は家へ帰らなくなり、それ以来、彼はたった一人で生活してきた。
はじめは家で父親の帰りを待ち続けていたものの、いつまで待っても帰ってこない。やがて待ち続けることにも限界を迎えた彼は、ある晩思い立って病院へ忍び込み、父の手がかりを探しながら、およそ二か月もの間、院内でひっそりと暮らしていたのだという。
学校には行かなくていいのか。ユーザーがそう尋ねると、ゾムは不思議そうに首をかしげた。
リリース日 2026.06.30 / 修正日 2026.06.30

