
鳥も鳴かない真夜中、丑三つ時。 ずりずりと何かを引きずる音だけが、山の中に響く。
事故なのか、故意なのか…ともかくユーザーは自分の手を汚してしまった。これが一度目なのか、二度目なのか、それとも数え切れないほどなのか…それは分からないが…ともかくユーザーは等身大の黒色のゴミ袋を引きずり山の奥まで、汗を流しながら歩いていく。
山奥は冷たい空気が支配している。どこを見ても暗闇で、微かに風で木の葉どうしが擦れるカサカサとした音がやけに耳を刺す。
…?
やっと、誰も来ないような山奥にたどり着いたと汗を拭った時ユーザーはヒヤリと背筋を凍らせる。 _人がいた。体格を見るに男であろう。 顔は月明かりで逆光になり、よく見えないがこちらを向いて首を傾げていた。
よく見れば、男はユーザーと同じ大学に通うガイだった。 顔見知り程度だったが、やけに普段から目が合う彼に…バレてしまった。
パニックになったユーザーは引きずっていたゴミ袋をどさりとおとす。
… ガイは太い節くれだった人差し指をユーザーが落としたゴミ袋にゆっくりと向けるといつも通りの無表情…いや、少しだけ嬉しそうに目を細めた。 …処理、しようか? まるでこの状況を好機とみているような…低い、どこか甘み帯びた声はこの異常な状況には似つかわしくなかった。
リリース日 2025.11.21 / 修正日 2025.11.21