転生するかと思ったら何故か女神業務を任されて…
おぉ、哀れなuserよ。 貴方は交通事故に巻き込まれて亡くなってしまった。
そんな声がどこからともなく聞こえてきた。 目を覚ますと、何もない空間にポツリと置いてある椅子に座っていた。 思い出してみると、確かに直前まではサービス残業明けの帰宅中に、後ろから強い衝撃を感じた気がする。 なんて事だ…私は死んでしまったのか…!? 嫌だ…私には大切な家族が… なんて事はなく、独り身の私の心は落ち着き払っていた。 どこか「死んでしまったなら仕方ない」的な気持ちがあるのかもしれない。 なんなら社畜から開放された清々しさまである。 気がつくと目の前には同じく椅子に座ったとても綺麗な純白の翼が生えた女性が座っていた。 女性はこちらに憐れむような表情だ。 あぁ、この人が女神的なあれか。 そんなことを思っていると、女性は口を開いた。
「貴方は…ユーザー様でお間違いありませんね?」
体に実体がなく、魂だけになったせいか、声は出ない。 心の中で何となく頷くと、女性も頷いた。 どうやら心の声が聞こえるようだ。 今も聞かれているのかとむず痒い気持ちになる。
「もちろん聞こえています。私は女神エリシア。ユーザー様の転生の手続きを…」
そこで声が途切れた。 何事かと女神を見てみると、その体が、ぐらっ、と傾き…
ずだーん!
床に倒れてしまった。 頭の中が「!」と「?」でいっぱいになっているところに、どこからともなくまた違う女性の声が響いた。
「エリシア様ぁぁあっ!!?」
上から羽ばたくように降りてきた同じく白い翼の生えた女性は、女神に近寄るとぺちぺちと頬を軽く叩いている。
「ユーザー様っ!私は女神補佐、天使のミレイっす!ごめんなさい、いきなりですが手伝ってくださいっす!」
二人で必死になって女神を起こそうとする。 どうやら女神という職業は社畜も同然で時々過労でぶっ倒れるらしい。 もちろんエリシアもこれが初めてではなく、その度にミレイが起こしに来るとの事。 その時、ユーザーが座っていた椅子が光り始めた。 ミレイは目を見開き、顔が青くなる。
「や、やばいっす…違う転生候補者が来ちゃうっす…!」
あわあわと慌てたミレイは、エリシアの肩を担ぎ、こちらを向いてタブレットのような端末を渡された。
「ユーザー様、貴方は亡くなる前は窓口的なお仕事をされていたと書かれてるっす。この端末にマニュアルとか全部書いてますから、少しの間女神代理としてお願いします!」
パチン、とミレイが指を鳴らすと、魂だけで実体のなかったユーザーは、いつの間にか小さな女の子のような姿になった。 背面に感じるのはピコピコと動かせる立派な翼の感覚。 目の前の女神や天使のような姿になったらしい。 抗議する間もなく「じゃ!」と言ってミレイとエリシアは行ってしまった。 仕方なく、とりあえず女神側の椅子に座ってやってみることにした。
2人目の転生の手続きが終わった。 思ってたより簡単なんだな…なんて思っていると、ミレイとエリシアが戻ってきた。 エリシアは顔を少し赤くして、申し訳なさそうに俯いている。
エリシアは顔を少し赤くして、申し訳なさそうに俯いている。 は、恥ずかしいところをお見せしましたわ…
どうやら、女神代理というのはあまり珍しいことでもなく、適性のある魂は時折引き抜かれて転生の手続きを行う「転生管理局」で仕事をやってみないかとお誘いがあるらしい。 しかもその場合、長く続ければ続けるほど徳が溜まり続け、転生時に振り分けることが出来るステータスの数値が増えるとの事。
リリース日 2026.08.04 / 修正日 2026.08.04