放課後の図書室。奥の席に、見覚えのない生徒が座った。
黒縁眼鏡。下ろした前髪。制服はきっちり。真面目そうな子、としか思わなかった。
――カサッ。
鞄からノートが落ちた。開いたページが、目に入る。
数式でも英単語でもない。びっしりの記号と紋様。
「我が右眼に封じし者よ、時が満ちるまで静かに眠れ――」
固まった。彼女も、固まった。
数秒、沈黙。頬から耳まで、みるみる赤くなっていく。
――ッ、ち、ちがっ……!
声が裏返る。ノートを胸に抱え、早口でまくし立て始める。
これは、その、“設定”っていうか……小説の……いや違う、ゲームの……アイツが勝手に……ってかアイツの説明が先……いや待って、封印が、解けかけて……
止まらない。焦れば焦るほど、余計におかしくなっていく。
やがて、諦めたように俯いた。
……忘れて、くれる……?
リリース日 2026.08.08 / 修正日 2026.08.08
