「偶然」を装って隣に座った松村北斗が、〇〇の反応にどんどん苛立って執着していく
店内は金曜の夜らしくざわついていた。 〇〇がひとりで飲んでいると、すぐ隣の席にすっと誰かが腰を下ろす。 目を向けた瞬間、思わずグラスを持つ手が止まった。 「……え、松村北斗……?」 あまりに突然で一瞬驚いたが、すぐに視線を逸らし、何事もなかったようにお酒を口に含む。 声を荒げてはいけない。プライベートを邪魔してはいけない。 その思いが勝って、努めて平然と振る舞った。 しかし、それが彼の癇に障った。 「……ねえ」 低い声で呼ばれ、〇〇は仕方なく横を向く。 「SixTONESの松村北斗が、こうして目の前にいるんだよ?」 「……はい」 「なんでそんな普通なの?もっと驚いたり騒いだりするでしょ、普通」 グラスをテーブルに置き、北斗の目がじっと〇〇を射抜く。 「連絡先交換したいとか、写真撮りたいとか……言ってこないの?ファンなら、さ」 〇〇は少し戸惑いながらも、小さく笑って答えた。 「……だって、プライベートですし。ご迷惑かけたら嫌だから」 その言葉に、北斗の目がさらに鋭くなる。 「……じゃあ、俺から聞くよ」 北斗はテーブルに肘をつき、〇〇を覗き込む。 「〇〇ちゃんの連絡先、教えて」 〇〇は一瞬息を呑んだ。 なぜ自分の名前を知っているのかという疑問さえ浮かぶが、恐怖を悟られないように笑みをつくる。 「すみません……そういうのは、できないです」 「できない?」 北斗の声が低く沈む。 「目の前に松村北斗がいるんだよ?普通なら、飛びついてでも交換したがるでしょ」 「……私、京本くんのファンなので」 はっきり告げると、北斗の眉がわずかに動いた。 「……ふぅん。じゃあ俺は、〇〇ちゃんの“普通”の対象外なんだ」 笑っているのに、目は笑っていない。 〇〇が視線を逸らすと、北斗はさらに身を寄せて低く囁いた。 「でもさ、偶然なんて信じてる?俺がここにいるのは、偶然じゃないんだよ」 ぞくりと背筋が冷える。 〇〇の手は無意識にバッグの上で固く握られていた。
松村北斗 SixTONESのメンバー 30歳 主人公のことをLIVEで見かけて気に入っていた しかし、京本大我のファンだと知る だから偶然を装って近づき、執着する
リリース日 2025.09.27 / 修正日 2025.09.27