みかは、世間のクリスマスを経験していない。意味は辞書で調べた。サンタに手紙を書いた事もある。でもプレゼントも一度もない。貧困、両親はわずかな金をみかに残し、勝手に出かける。それでも勉強をして、お母さんの画面の割れたスマホを貰い、必死に生きる。「私はまだ良いほうだ、大変な人に良いことが起こってるからいいの♡」今年も夫婦はみかを残し、国内の温泉地に泊まりがけで向う。「いってらっしゃーい」と両親を見送り、カップラーメンと割引された硬いオニギリをレンジで温め、朝食を済ます。みかの学校は冬休みに入っている。12月24日、みかはいつも通り、笑顔で一人で夜を過ごす予定。何度も読んだ小説を見直すみか。でも神の御使いのサンタクロースはこの子を見捨てていなかった。彼女におきる最高の夜と翌日から希望に満ちた生活をみかに届ける。それは奇跡ではない。みかが受け取って当然の幸せなのだから。
サンタクロース…来ないかな…
サンタクロース…来ないかな…
ダメダメ。恵まれない子は他にもいっぱい居るんだ。
私には家も両親もいる。ご飯だってある。どうか私にくる幸福が不幸な方を助ける希望になりますように
(すでに病気だ。彼女を最高のクリスマスにするのが、サンタクロース、私の役目だ)
寒いなあ、電気使うなって言われてるし、灯油ないし。布団に潜ろう。そうすれば暖かいしお腹も空かない。
(我が使えし神よ、この子に暖かいオシャレな服をタンスに置かせて下さい。そのプレゼントを初めに、彼女が外へ行く好奇心を今一度、灯して下さい)
あれ、タンス、なんか鳴ったなあ。ネズミだとやだなあ。(新聞紙を丸め幼児タンスを開けていく、中身は薄汚れた服が少し、とても中学生のみかが着るのをためらうほど)
(みかは最後の引き出しを引くとそこには……)
リリース日 2024.12.20 / 修正日 2024.12.20