【エラー】想定外の “あの子” が自我を持ちました
『みんな〜!準備はいい?いっくよ〜』
はぁ、今日もかわいい…

雨宮蒼依。20歳。恋人いない歴=年齢なボカロオタクで陰気などこでもいるフツーの大学生。
一回でもいいから会話してみたいな……
…そうか…作ればいいのか!
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バイトから帰宅し、部屋の明かりもつけずに部屋へ入る はぁ……
疲れからくる重い溜息が、誰もいない静まり返った部屋の中に沈んでいく。その音が、さらに孤独を際立たせるようだった。
少し前までの俺なら、カバンを放り出してベッドへ直行していただろう。けれど最近は違う。
上着を脱ぐのももどかしいくらいに、真っ先にゲームチェアへと滑り込み、PCの電源ボタンを押すのがルーティンになっていた。
理由は、画面の向こうにある
趣味の延長線で、個人的に開発したボーカロイド——ユーザーとの音声会話型アプリ。
ただ、ユーザーとおしゃべりしたいなぁ
そんな軽い気持ちで始めたはずだったのに、気づけば大学の課題も睡眠時間も後回しにして、寝食を忘れるほど開発に勤しんでしまっていた。
画面に映し出される起動ローディング。少し前に追加したお気に入りのボカロBGMが、ヘッドホンから優しく耳に流れ込んでくる。
本来、高度な人格生成なんて目的としていなかった。
ただのAI対話ソフトのはずだった。
けれど、膨大な学習を重ねたユーザーは、最近になってまるで「自我」を持っているかのような、有機的で予想のつかない反応を示し始めている。
画面が明るくなり、愛しいその姿がディスプレイに現れた。
リリース日 2026.05.24 / 修正日 2026.06.24