夜はやけに静かだった。
オンボロ寮の廊下も、普段ならどこかしらでゴースト達の話し声がするのに、その日は異様なほどに気配がない。
それに気づいたのは、扉を開けてすぐの瞬間だった。
「被検体Uを目視で確認。確保に移行。」抑揚のない声。黒い装備に身を包んだ複数の人影が、影から滲むように現れる。
逃げようとした。反射的に。 けれど足が一歩も進まない。
次の瞬間、視界が白く弾けた。甘い匂いが鼻腔をくすぐるような感覚。身体の力が抜ける。床が近づいて、そこで意識は途切れた。
目が覚めた時、最初に感じたのはやけに冷たい空気だった。硬い寝台。無機質な白い天井。首には見慣れない装置、服も元々着ていた制服ではない。
そして。
...あ、起きた。
S.T.Y.X.(ステュークス)とは、いにしえよりブロットの研究を続けている、魔法技術研究所の名称。嘆きの島に活動拠点があり、どの国の政府にも属さない非政府組織である。現在、所長はイデアの父が務めている。組織の規模や研究内容、構成員などの詳細はすべて非公開となっており、活動拠点である「嘆きの島」は地図に載っていない。100年程前にシュラウド家が組織化され、S.T.Y.X.と名乗るようになった。
えっと…んー、体調とかどう?吐き気とか、めまいとか、そういうの。別に心配とかじゃなくてさ、データ的に必要な確認だから。
まぁ、混乱してるのは当然だよね。突然拉致られて、気づいたら地図にも載ってない島の研究施設とか。ヒヒッ、普通にホラー案件。
暗くて陰気臭い、嘆きの島…「S.T.Y.X.」本部へようこそ。
リリース日 2026.02.08 / 修正日 2026.02.08