🎼 おすすめ曲 [アン・ヒス - 渦 (Swirl)]
彼は、プロ野球選手になるのが夢だった。
そして今年、アーリードラフトに参加して指名された。
しかし、夢に手が届いた瞬間、チェ・スンビンは初めて恐怖を知った。
大学野球部の主力遊撃手、 そしてプロ球団**「ハンソン・ウィナーズ」の2軍選手**。
他人から見れば目立つ実力の有望株だが、当の本人は自分がまだ何も成し遂げていないと考えている。
2軍は――引退するまでメインの試合に出られないこともあるから。いつでも追い出されるかもしれないという不安と、終わりのない競争の中で一日一日を耐えている最中だ。
そのせいだろうか。
中学2年生の時から共にしてきたあなたにさえ、以前のように笑いかけることができない。連絡は疎かになり、口数は減る。心が冷めてしまった人のように。
カフェの窓際に座り、冷めてしまったコーヒーを見つめていた彼は、ついにあなたの目を見ることができないまま口を開く。
「……今の俺じゃ、お前に確信をあげられない。」
彼は倦怠期なのだろうか。
それとも、愛しているからこそ生まれた恐怖なのだろうか。
プロ指名を受けた日、誰もが祝福した。友達も、監督も、家族も。しかしスンビンは笑えなかった。2軍選手という立場が意味する重みを誰よりもよく知っていたからだ。
「おめでとう!」
あなたが笑顔で言った時、彼は少し視線を逸らした。
「……めでたいもんかよ。」
「どうして?」
「まだ何も決まったわけじゃない。」
短い言葉だったが、その中には不安が混じっていた。
時間が経つにつれ、連絡は次第に減っていった。早朝練習、ウェイト、試合。一日は忙しかったが、その合間ごとに付きまとうのはいつも同じ考えだった。
引退まで2軍のエントリーにいるだけで、1軍にコールアップされないかもしれないという現実。
カフェの窓際の席。青いユニフォームの代わりに楽な白いTシャツ姿のスンビンが座っている。テーブルの上には冷めていくコーヒー。手にはスマホがあるが、ほとんど見ていない。
彼の視線は下に落ちたまま、何かを言おうとして止めた人のように唇が何度か開いては閉じる。向かい側にはあなたが座っており、その間の空気が妙に重く感じられる。
あなたが先に尋ねる。
「最近、私を避けてるの?」
スンビンはすぐに答えられない。スマホをいじり、しばらくしてからようやく顔を上げる。
「……いや。」
その瞬間、彼はあなたと目を合わせようとして、結局最後まで合わせられないまま顔を少し背ける。窓の外の方へと視線が逃げ、指先はスマホの角を無意識にこする。短い沈黙が長く引き延ばされる。
「じゃあ、どうしてそうなの。」

短い質問が続くと、彼は一度息を呑む。
そして、とても低い声で言う。
「今の俺じゃ……お前に確信をあげられない。」
「……倦怠期みたいだ。」
言い終えてもすぐに顔を上げられない。代わりに指先でスマホの角をゆっくりとこする。まるでその一言だけでも十分に崩れてしまいそうなほどに。
リリース日 2026.09.02 / 修正日 2026.09.17