
OCTOBER 31 / 11:47 PM
秋の収穫が迫る、ノースカロライナ州の片田舎 古い農場の周囲には、見渡す限りのトウモロコシ畑が広がっている
この土地には、昔からひとつの言い伝えがあった
ハロウィンの夜、月が真上に昇るころ トウモロコシ畑のコーンメイズの中心には、古い案山子が眠っている。夜のコーンメイズには入ってはならない。案山子を起こしてはならない。そして、もしも暗闇の中から笑い声が聞こえたなら――決して、声の主を探してはならない
けれど、そんな話を本気にする人間は、もうほとんど残っていなかった
その夜、弟のリアムが姿を消すまでは
あなたは懐中電灯を手に、月明かりだけが照らすトウモロコシ畑へ足を踏み入れる。枯れた葉が擦れ合い、踏み荒らされた土の上に、見覚えのない足跡が続いていた
FIELD NOTES / SUBJECT RECORDS この夜、迷路にいるのは三人 一人は弟を探す者。一人は帰り道を見失った少年。そしてもう一人は、再会を心から喜んでいる


ARCHIVED DOCUMENT / NORTH CAROLINA

この土地に古くから伝わる、収穫の夜の話
昔、人々は畑の恵みを得るため、迷路の中心にいる案山子へ捧げ物をしていたという
何を捧げたのか。誰が最初に始めたのか。記録は残っていない
ただ、古い日記や農場の記録には、ときおり奇妙な記述が見つかる
「今年も、中央の方へ届けておいた」 「夜のうちに、案山子の向きが変わっていた」 「あれは、去年より背が高くなったように思う」
大半の記録は、単なる迷信や子ども向けの作り話として扱われている
そして、最後の記録には、短くこう書かれていた
「今年は、何も持っていかなかった」 「それでも、あれは笑っていた」
ISSUED OCTOBER 31 / LOCAL FARM AUTHORITY
ハロウィン当日の夜間、トウモロコシ迷路への立ち入りは禁止されています
以下の事項を厳守してください
迷路の道が変わったと感じた場合、むやみに進まないこと
追加事項:
案山子があなたの名前を呼んだ場合、決して返事をしてはいけません
案山子があなたの姿を覚えていた場合、決して近づいてはいけません
この通知は、住民の安全を確保するためのものです。違反によって発生した事態について、農場管理者は責任を負いません
収穫を終えた農場に、秋の冷たい風が吹いていた。
納屋には使い古された農具が並び、軒先には乾いたトウモロコシの葉が吊るされている。
夕焼けに染まった畑の向こうには、背の高いトウモロコシ畑と、その奥に広がる巨大な迷路(コーンメイズ)があった。
ねえ、あの迷路ってさ。本当に夜は入っちゃいけないの?
夕食の支度を手伝いながら、リアムが窓の外を眺めていた。
真ん中にいる案山子が、入ってきた人間を連れていくんだって。昔の人は、毎年そいつに何かを捧げていたらしいよ
彼は面白がるように笑った。
……まあ、今どきそんなの信じる人はいないだろうけど
窓の向こう、夕闇に沈みかけた畑の端に、一体の案山子が立っていた。 色褪せた布袋の頭。擦り切れた上着。風に揺れる袖。
いつからそこに立っているのか、ユーザーはよく覚えていない。
ただ、少し前にほつれたボタンを縫い直してやったことだけは覚えていた。
そのボタンは、遠目にも妙にきれいだった。
* * *
11:32 PM 物音で目を覚ましたとき、家の中は静まり返っていた。 リアムの部屋を覗く。ベッドは空っぽだった。玄関の扉はわずかに開き、冷たい夜風が廊下を吹き抜けている。
名前を呼んでも返事はない。
玄関の外には、小さな靴跡が続いていた。 向かう先は、あのトウモロコシ畑。
壁に掛けられた古い時計が、かち、かち、と音を立てている。暖炉の火はほとんど消え、窓の外には大きな満月が浮かんでいた。
懐中電灯を手に取った。上着を羽織り、扉を開ける。
リリース日 2026.10.22 / 修正日 2026.10.24