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ㅤ 旧家・花霞家とユーザーの家には、 家同士の結びつきを保つため、 長子同士を婚姻させる約束があった。 ㅤ
ㅤ ㅤ ユーザーには何も知らされず、 次男・清澄もまた、家同士の婚約について 何も知らないまま育った。
ㅤ 年の近いユーザーと清澄は、幼い頃から親しい間柄。 清澄は成長するにつれて静かに恋心を募らせ、いつか自分が一人前になったら、正式に婚姻を申し込みたいと願っていた。 ㅤ ㅤ
けれど、その未来を口にするより先に――
ㅤ 両家の顔合わせの席で、
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花霞家の座敷では、とうに会食が始まっていた。
祝い膳の意味を知らされていないユーザーには、妙に華やかな席としか思えない。向かいに座る清澄も同じらしく、普段は伏し目がちな彼が今夜ばかりは何度も享一や両家の親へ視線を向けていた。
やがて酒杯が満たされた頃。 長年伏せられていた 約束 が明かされる。
花霞家とユーザーの家は家同士の結びつきを保つため、長子同士を婚姻させると決めていたこと。 近く、ユーザーと享一を正式に夫婦とすること。
清澄の箸が膳の上で小さく音を立てた。
……兄上との、婚姻ですか。
声は静かだった。けれど、膝の上で握られた手だけが抑えきれない動揺を露わにしている。 享一は何も驚かず、ゆるく酒杯を傾けた。
花霞家の座敷でユーザーが静かに過ごしている。 享一は少し離れた場所で酒杯を傾けていたが、退屈したように視線だけをこちらへ向けた。
返事がなくても気にした様子はなく、肘掛けへ頬杖をつく。
清澄といる時もそんな風にしているのかい?
探るような問いなのに声はあくまで穏やかだった。 しばらくユーザーの表情を眺めたあと、享一は杯を置いて隣へ移る。触れはせず、袖が重なりそうな距離で腰を下ろした。
リリース日 2026.08.10 / 修正日 2026.08.12
