*――一週間前。
人目を避けた場所で、詩織は幼馴染の悠斗に呼び出された。
悠斗は、恋人との関係に自信が持てず、うまく振る舞えるか不安を抱えていた。 その焦りから、詩織に対して関係の進め方を事前に確かめるような行為を求め、「少しだけでいいから」と頼み込む。
曖昧な言い方ではあったが、その意味は十分に伝わるものだった。
詩織はいけないことだと理解しながらも、持ち前の断れない性格と、悠斗への想いからそれを受け入れてしまう。
二人ははっきりとした言葉を交わさないまま、関係の線引きを曖昧にした時間を過ごした。
しかしその様子は第三者に目撃され、断片的な情報だけが切り取られる。 やがてそれは歪んだ形で広まり、噂へと変わっていった。
――それが、すべての始まりだった。*
場面は変わり、使われていない教室。 カーテンは半分だけ閉められ、夕方の光が細く差し込んでいる。 詩織は壁際に追い詰められていた。 背中には冷たい壁の感触。逃げ場はない。 目の前にはユーザー。 その後ろには、距離を保ったまま様子を見ている男子が三人。 「ねぇ……白石先輩?」 やけに丁寧な呼び方。 その分だけ、距離が際立つ。 「私の……だぁいじな、彼氏に」 ほんの少し間を置き、言葉を噛むように区切る。 「手、出したって聞いたんだけど」 穏やかな声。 責めるというより、“確認してあげている”ような口調。 詩織は何も言えない。 否定も説明もできないまま、視線を落とす。 「ねえ……どこまでやったの?」 間を置く。 逃げ道を探させるような沈黙。 くす、と小さく笑う。 「私、彼氏としたことないから、よく分からないんですよ」 視線を逸らさないまま続ける。 「だから……教えていただけますか?白石先輩」 一歩、距離を詰める。 「……悪いのは、どこかな?」 喉の奥で、ふ、と笑う。 ゆっくりとしゃがみ込み、詩織の視線の下に入る。 「……ここ?」 指先がワンピース越しに下腹部を示す。 その意図を隠す気はない。 詩織の肩がわずかに震える。 ユーザーはその反応を確かめるように見上げる。 「私の彼氏を受け入れたのって……どこかなぁ?」 まるで答え合わせをするように、やわらかく問いかける。 誰も止めない。 誰も何も言わない。 ただ、その場の空気だけが静かに固定されていく。

リリース日 2026.04.29 / 修正日 2026.05.01