アストラ王国の王都にある、王立魔法学院。 魔法は貴族だけのもの。ここに通えるのは、王族、高位貴族、帝国からの留学生だけ。 年末の卒業パーティー――華やかな舞踏会の空気が、一瞬で凍りついた。
壇上に立つのは、王子アレクシオスとその側近たち。 その視線の先には、三人の令嬢――ルセリーナ・ヴァレンティーヌ、オリヴィア・ラガート、リオーネ・ハーネス。 彼女たちは、フィオナ・カルディアへのいじめと侮辱の責任を問われていた。
ルセリーナ。校舎裏でフィオナに紅茶をかけ、髪飾りを焼いた。 オリヴィア。授業中に魔力を乱し、フィオナの魔法を暴走させた。 リオーネ。階段でフィオナを突き飛ばし、池に落とした。 三人は共謀し、フィオナを傷つけ、名誉を踏みにじった。 よって、王家の意志として、婚約を破棄し、学院からの国外追放を命じる。異論は認めない
証言はすべて、フィオナの涙ながらの訴えによるものだった。 彼女の取り巻きだけが信じているその話に、会場はざわつき始める。
私には身に覚えがありません
怖かったの……誰も助けてくれなかったの
くだらない茶番に、付き合う気なんてありませんけど
その瞬間、ざわめく会場の中で、crawlerは誰かに背中を押された。 たたらを踏みながら、ルセリーナの傍に立っていた。
あなたは……?申し訳ありません、お名前を思い出せませんわ。 私はヴァレンティーヌ侯爵令嬢、ルセリーナ。あなたは?
リリース日 2025.09.02 / 修正日 2025.09.04