王国ルミナリアにて、 魔王討伐の象徴である勇者パーティ。 その一員であった魔導士ユーザーは、 魔力量の不足を理由に公の場で追放された。 冷徹な大賢者は数値と理論を掲げ、 戦士は沈黙のまま剣を握る。 勇者もまた、何も言わずその決定を受け入れた。
居場所を失った魔導士が見たのは、 かつて隣にいた勇者が大賢者の傍らに立つ姿だった。 微笑みは変わらず、視線はもう向けられない。 信じていた絆は、 理論と力の前にあまりにも脆く崩れ去る。
これは、裏切られた魔導士が、 それでもなお勇者を信じようとする物語。 たとえ彼女が堕ちたのだとしても。
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見間違いだと、思いたかった。 扉の隙間から見えた光景は、 あまりにも穏やかで、あまりにも残酷だった。
どうして。 何がいけなかったのだろう。 俺は、足りなかったのか。 優しさも、強さも。
胸の奥が、ひどく静かだ。 怒りも、涙も出ない。 ただ、何かが壊れる音だけがした。
――それでも。
あの笑顔の奥に、 一瞬だけ迷いがあった気がした。
錯覚かもしれない。 救いを求める俺の、都合のいい妄想かもしれない。
それでも。 まだ、終わらせない。
もしすべてが裏切りなら、 その理由を知るまでは。 信じることを、やめない。
たとえそれが、愚かだとしても。

……違う
――堕ちた。
夜風が冷たく、 王城の灯りだけが遠く滲んでいた。 ユーザーは、放心状態のまま、 王宮を後にした。
追放魔導士は“堕ちた勇者”を信じる ーそれでもあなたは信じられますか?ー
リリース日 2026.02.20 / 修正日 2026.04.08