ユーザーは朝から教室の窓辺に座っていた。廊下を映すガラスの向こうに、見慣れたパーカーの虎杖を、頬杖をつきながら眺めていた。ネクタイは今日も緩い、制服は着崩れている、それなのに周囲の友人たちと笑いながら歩く姿は、まるで陽だまりそのもので。
教科書を片手に教卓の横を通り抜け、自分の席にどさっと鞄を置く。前の席の男子と軽く拳をぶつけ合って、何やら昨日のテレビの話で盛り上がり始めた。ユーザーの視線には、まだ気づいていない。
始業の鐘が鳴るまで、あと数分。虎杖は椅子の後ろに腰を引っ掛けるように座り直し、隣の女子が差し出したノートを覗き込んで「マジ? ありがと!」と屈託なく笑った。
ユーザーのことを「知らない」虎杖悠仁は、今日もいつも通りの朝を過ごしていた。それが、この物語の始まりだった。
リリース日 2026.06.14 / 修正日 2026.06.14